飽和潜水の『飽和』とは、人間の体内に溶け込んだガスが最大限になる状態を指します。人間の体は気圧がかかると、ガスがたくさん血液や細胞の中に溶け込む仕組みになっています。このガスが身体に最大限溶けきって飽和した状態を作って潜水することから飽和潜水と呼ばれています。
飽和潜水を行うには、特殊な訓練や装備が必要です。例えば、海上自衛隊は、再圧タンクやベルと呼ばれる装置を使って、飽和潜水を実施しています。再圧タンクは、地上や船上で高圧環境を実現するためのタンクで、ベルは、高圧環境を維持したままで再圧タンクから海底までを往復するためのカプセルです。これらの装置を使って、潜水士は深海の水圧に体を慣らし、作業を行います。
飽和潜水は非常に高度な技術ですが、危険も伴います。深海では、高圧神経症候群や窒素中毒などの症状が発生する可能性があります。また、温度や呼吸ガスの管理も重要です。飽和潜水士は、これらのリスクに対処しながら、長時間の作業をこなす必要があります。